気付いて、調べて、考えて。【生きもの観察日記 in 石垣島】サンゴの「色」の謎?について

台風一過、良い天気が続いております石垣島。
本日のブログは「生きもの観察日記」、先日ガイド中にふと疑問に思ったことについて書いてまいります。

石垣島のサンゴはここ数年めざましい成長を遂げておりまして、内湾も外洋も、多くのエリアで上の写真のような美しい光景を見ることができます(*’ω’*)🌟
若いサンゴ礁ですので、サンゴの大小も種類もさまざま。将来的にはサンゴ同士の競争によって淘汰が進み、優占種のみのシンプルなサンゴ礁へと変遷していきます。多種多様で色とりどりな今の景色もまた、期間限定な風景といえます。(オニヒトデの大発生や海水温上昇など、急激な環境変化がなければですが💦)

そんな景色の中をガイドしていまして、ふと目に留まったのがこちら⇧。よく見かけるミドリイシの仲間なんですが、同じ種類であろうサンゴが、青色と肌色の異なる2つの色をしていました。

どうして疑問に思ったかを書く前に、このサンゴがクローンで作り上げられた「群体サンゴ」であることと、サンゴの「色」がどのように生み出されているかについて書いていきます。

まずは「群体サンゴ」について、サンゴに詳しい人には当たり前のことですが、ニョキニョキと伸びるサンゴの表面にあるツブツブ、この一つ一つが「ポリプ」というサンゴの個体です。固い骨格部分は海中のカルシウムを取り込んで作り出しており、骨格を広げつつ自身の複製体(クローン)を生み出して大きくなっていきます。このようなサンゴを「群体サンゴ」といいます。

続いて「色」について。僕も改めて勉強しましたが、知らないことが多かった!(>_<)💦 この機会に感謝です!!
サンゴの色を決めているのは、共生している「褐虫藻(植物プランクトン)」と、サンゴ自身がもつ様々な「色素」、紫外線対策に作り出す「蛍光タンパク質」の3つだそう。ひとつずつ掻い摘んで説明しますと。
共生藻である「褐虫藻」は光合成色素(クロロフィルなど)をもち、光合成産物を栄養分としてサンゴに分ける代わりに棲み家を提供してもらっています。30℃以上の高温環境に長くおかれたサンゴは、ストレスで褐虫藻を吐き出し、白く変わります。これを「白化」といい、よく知られているサンゴの生態です。このことから、サンゴの色は「褐虫藻」によるもの、とだけ僕も理解していました。いやぁ、勉強不足だったようです(;^ω^)💦
サンゴ自身がもつ「色素」については詳しく分かっておらず、光の少ない深海では色素を持たないものが多いことから、強すぎる光を反射して褐虫藻を守る為ではと考えられています。
「蛍光タンパク質」は近年盛んに研究されているもので、強すぎる紫外線から自身を守るために作り出されているほか、共生藻である褐虫藻を細胞内に取り込むためにも用いられているのでは、と考えられています。

調べていくうえで、同種のサンゴであっても異なる色を呈することがあることを知りました。ウスエダミドリイシというサンゴには茶色、黄緑色、紫色の3種があります。(情報元はこちら) この記事によると、それぞれの色のサンゴが有する共生藻はどれも非常によく似たもので、サンゴの色の違いはサンゴが作り出す「蛍光タンパク質」によるものだそうです。

さて、いよいよ問題の写真についてです!ずいぶん遠回りしましたが、これでも簡潔に書いた方なんです(;^ω^)笑
僕がこのサンゴのどこに疑問をもったか、挙げていきますね。
・同一個体のクローンである一つの群体が、異なる色をしているのはなぜ?
・同種で色が異なるサンゴの褐虫藻が非常によく似ているならば、色の違いは色素かタンパク質のせい?
・根本の部分は肌色で途中から青色に変化している?途中で作り出す色素かタンパク質が変わった?なぜ?
・青から肌色に変わっている部分はないが、それはなぜ?
・褐虫藻は強い青色光を嫌うとのこと。だから青色に変化した?(青色=青い光を反射している)
などなどです(/・ω・)/ さーて、これらの疑問の答えは~~~、、、。

はい!!!!分かりません!!!!!!!!
「ここまで引っ張っておいて、無責任!」なんて怒らないでくださいね!(笑) ホントに自然界のことって、未だに分からないことだらけなんです💦💦 ただ、自分なりに考えたことをまとめることはできます。まぁ、根拠は乏しいですが(;^ω^)
・クローンであるはずの一つの群体で、大きくなる途中で色が変わっているのは、突然変異が起きたからでは?
・強い青色光を嫌う褐虫藻のため、青色に変わる機能を持っていて、その機構が働いたのでは?
・青色に変わった時点では潮の干満が激しく、干潮時にとても強い太陽光が降り注いだのでは?
・色の変化が、「褐虫藻」/「色素/「タンパク質」のどれによるものなのかは、専門的な調査が必要。
・ポリプだけでなく骨格も青くなっていることから、「色素」の違いによって色が違うのでは?
といったところでしょうか。やはり、謎ばかりですね(笑) 「答えはサンゴのみぞ知る」でしょうか(^o^)

あーだこーだと書いてまいりましたが、以上!本日のブログでした!
この記事を書くにあたり、前述の記事のほか、こちらのサイトに大変お世話になりました!この場を借りて、お礼申し上げます。サンゴについて、とても沢山面白いことが書いてありますので、興味のある方は是非訪ねてみてくださいね! ➡ サンゴ(珊瑚)の生態や白化問題についてまとめるサイト

今後も海の中で出会った不思議なことについて、時々こんな風に書いていきますので、良ければお付き合いくださいね(^o^) これまでの記事はこちらへどうぞ ➡ 【生きもの観察日記】

石垣島北部の海と、お待ちしています。
ダイビングサービス 鱗 代表:林 拓弥

気付いて、調べて、考えて。【生きもの観察日記 in 石垣島】サンゴの「色」の謎?について” に対して1件のコメントがあります。

コメントは受け付けていません。