気付いて、調べて、考えて。【生きもの観察日記 in 石垣島】不思議な、ふしぎな、イソギンチャクの世界♪
本日の石垣島は曇り時々晴れ。最高気温は25℃前後と、ここ数日「12月とは…?」という天気が続いております。
可愛らしいクマノミの写真からスタートしましたが、今回のブログの主役はタイトル通り「イソギンチャク」です!脇役とされがちな生き物ですが、知れば知るほど不思議で面白いんです。
そもそも「イソギンチャク」は刺胞動物の1グループに属していて、サンゴやクラゲと共通点の多い生き物です。触手で食べ物を捕まえますし、共生藻を吐き出して白化もすれば、チクリと刺したりもします。
白化の不思議
サンゴと同様に体内に共生藻を保有している種のイソギンチャクは、高水温環境にさらされると白化します。個体によっては単純な白だけでなく蛍光色も現れて、なんともフォトジェニックな姿に変身します。このことはダイバーの間では広く知られていて、「夏の風物詩ですよ~♪」なんて僕もよくガイド中にご紹介しています。
白化のメカニズムについてはほぼサンゴと同様のため、僕もよく勉強させてもらっているこちらのサイトを見ていただくとして、僕が気になったのは、同種のイソギンチャクであるにも関わらず、全く違う色の個体が現れるということです。
これらの違いは、遺伝的に決まっているのか、あるいは環境によって色彩を変えるのか、という2つの可能性があるそうです。同じような環境でも違う色の個体が見られることも多いので、個人的には遺伝的な要因によるのかなーと思っています。ただ、なぜこんな風にカラーバリエーションが生まれるのかは未だ分かっていないそうです。以前書いた「サンゴの色」みたいに、共生藻の誘因や蛍光タンパクなんかが絡んでいるんでしょうかねー?不思議だなー。
共生の不思議<クマノミ>
イソギンチャクとクマノミの共生関係については、ダイバーでない人にも広く知られていますよね。それを可能にしているのは、クマノミがイソギンチャクに刺されないように粘膜で体表をガードしているからだそうです。上の写真のように同種のイソギンチャクに異なるクマノミが住むこともあるので、彼らは同じバリア(粘膜)をもっていると考えられます。そこで疑問に思ったのは、このバリア(粘膜)はクマノミ由来なのか、イソギンチャク由来なのか、ということです。調べてみたところ、どちらも考えられるとのこと笑 イソギンチャクの粘液がクマノミの体表に移ったという研究結果もあれば、生まれてすぐに隔離されて飼育されたクマノミ幼魚が、親魚と同じイソギンチャクに刺されなかったという結果も(>_<)💦 詳しくはこちらの書籍へ
複数種のイソギンチャクと共生できるクマノミもいるので、さらに謎は深まります。The クマノミ なんて5種以上のイソギンチャクと共生できますからね。遺伝的データのなかにすべてが含まれていると考えるよりは、宿主から獲得すると考えた方が自然なような気も。クマノミの種類にもよるのかなー?ん-、不思議(*’ω’*)💕
共生の不思議<キンチャクガニ>
クマノミ類との共生に次いで知られているのが、甲殻類との共生。イソギンチャクに住むだけでなくて、活用する種もいることがユニークでまた面白いです(*’ω’*)
特別面白いと思ったのは、上の写真「キンチャクガニ」との共生です。2つのハサミでイソギンチャクをがっちりホールド!外敵に向けて振り回し、「イソギンチャクで刺すぞ!」とばかりに威嚇します。この手法、特にタコなどに有効な防御となっているそうです。そんな姿が拳を振り回すボクサーに見えることから、海外では「ボクサークラブ」と呼ばれています。小さく動きもコミカルなので、ボンボンを持って応援していると見た方がしっくりきますが(^o^)(笑) しかしイソギンチャクにとっては、いい迷惑。片方だけが得をしている「片利共生」だなぁ。なんて思っていたんですが、勉強してみると面白いことが分かりました! ハサミでがっちりホールドされているこのイソギンチャク、自然界の他の場所では観察されていないそうです。その名も「カニハサミイソギンチャク」。すごいネーミングセンス。まんまじゃん、。(笑) 他の場所で観察されないということは、このイソギンチャクにとってキンチャクガニはなくてはならない存在と考えられそうです。繁殖や摂餌などに、一役買っているんでしょうかね。しかも左右のハサミにあるイソギンチャクは遺伝子的に同一な「クローン」で、カニの方が分割して作り出しているという研究結果も。詳しくはこちらの記事へ。キンチャクガニとカニハサミイソギンチャクは、一体「どこ」で「いつ」出会い共生し始めるのか不思議でなりません。生まれてから死ぬまで一緒とは考えにくいし、まさかカニがイソギンチャクを養殖してる?増やして子孫に継承してる?いやそもそも子育てしないか?謎は深まるばかりです(*’ω’*)🌟
ヒートアップしてきたところですが、これ以上は収拾がつかなくなりそうなので、今回の所はこのくらいで💦
今後も海の中で出会った不思議なことについて、時々こんな風に書いていきますので、良ければお付き合いくださいね(^o^) これまでの記事はこちらへどうぞ ➡ 【生きもの観察日記】
石垣島北部の海と、お待ちしています。
ダイビングサービス 鱗 代表:林 拓弥