忘れないように。

北寄りの風が吹くことが多くなりまして、日に日に水温も下がってきている石垣島です。今日は数日ぶりに太陽が顔を出し、ポカポカと温かい一日になりそうです。
少しずつ増えていっている我が家の植物たちも、花を咲かせたり、実を結んだり、葉を落としたり、と季節の移り変わりを教えてくれています。

さて、ずいぶんと久しぶりのブログ更新となってしまいました。
他ショップさんのお手伝いであったり、本業とは別の仕事であったりではありますが、海に陸にと忙しくさせていただいていました。(仕事があるというのは、ありがたいことですね。)

ちょこっとした記事を更新ということならできたのですが、じっくり時間をかけて書きたいことがありまして、今日に至った次第です。

書きたかったことというのは、先日の10月14日に急逝されてしまった「ネイチャー石垣島ダイビングサービス 多羅尾さん」との思い出についてです。今日のブログは、多羅尾さんとの思い出を忘れないためという、非常に個人的な理由で書かせていただきます。

2005年 ネイチャー石垣島ダイビングサービス 多羅尾さん 撮影

多羅尾さんと初めてお会いしたのは、僕が当時中学生だった頃(もう20年近く前になるんですね💦)。その翌年にはダイビングライセンス講習でお世話になりました。講習の中で一番記憶に残っているのは、マスククリアのスキルでパニックを起こし水面まで浮上してしまったこと。幼少期からスイミングスクールに通っていて、水中にはかなり自信があったのに、。当時ずいぶん凹んだのを覚えています。
自分がインストラクターになった今思うと、なかなかに嫌な状況ですね😅 なまじ泳ぎが得意な男子中学生がパニックを起こして急浮上。泳ぐのも早いから捕まえるのも大変。その上気持ちも凹んで講習へのモチベーションが下がる。いやはや、大変お手数をおかけしました。「いやぁー。綺麗に泳いで浮上したなぁ!」と、あの笑顔でユーモアも交えながら励ましていただきまして、なんとか無事にダイバーになることができました。

それ以来、年に一度くらいの頻度でネイチャーさんにお邪魔して、ダイビングの楽しさを沢山教えていただきました。(素晴らしい体験をさせてくれた両親にも、改めて心から感謝です🙇‍♂️)
初めてマンタを見たのも、多羅尾さんと一緒でした。ネチネチと小さな生物を観察するようになったのも、間違いなく多羅尾さんのせいです笑。 ダイバーの嗜好って、やっぱり出会ったガイドに多分に影響されますよね😂

大学を卒業して大学院に進学し、それも終わりが近づいてやってくる就職活動。僕は周囲と同じように就職活動をすることができず、その時にも多羅尾さんに相談に乗ってもらいました。アドバイスをしてくれつつも、「最後に決めるのは自分だから」と、優しくも厳しくもある言葉をいただいたのを覚えています。

結果ダイビングインストラクターになることを選び、石垣島での社会人生活が始まったわけですが、できることが増えるたびに、これまで見えていなかった多羅尾さんの凄さに圧倒されました。ガイディング・生物/写真の知識と探究心・ゲストへの心遣い・社会の変化への対応、もうもう自分なんて足元にも及びません。
「何かあったら、いつでもおいで」と、多羅尾さんは仰ってくれていたのですが、「迷惑じゃないか?」と恐縮し、「成長を見せないと」と緊張して、なかなかお伺いすることができませんでした。「心配をかけたくない」と言い訳して、単に至らない自分を見せたくないというだけ。今にして思うと、くだらないプライドが邪魔をしていただけですね。もっともっと、なりふり構わず、厚かましく、お付き合いしていればと、自分勝手な気持ちばかりが浮かんできます。

2023年 ダイブパラッパ 吉武さん 撮影

突然の訃報を知った日は、「もう多羅尾さんと話せないのか」「このポイントでいつも船が見れたのに」「自分のお店や船もお見せしたかったのに」「このマンタを初めて見たのも多羅尾さんとだったな」「この生物は多羅尾さんのブログで知ったな」などなど、グルグルといろんなことを考えてしまいました。ダイブパラッパさんでのお手伝いでしたが、ご迷惑をおかけしなかったか、今更心配になってきました。多分大丈夫だったと思うのですが、。吉武さん、素敵なお写真🔼ありがとうございました。今後とも、どうぞよろしくお願い致します🙇‍♂️

自分の気持ちを整理するためだけに、ダラダラと書いてきてしまいました。ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。

憧れであり目標であった「多羅尾さん」に少しでも近づけるよう、精進していきたいと思います。これからもご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い致します。

石垣島北部の海と、お待ちしています。
ダイビングサービス 鱗 代表:林 拓弥